不純な理由で近づきました。
*怖いことだってあるんです




朝、散々兄さんに絶対に相談しろよっ、と言われた。


もうそれは何十回と。耳にたこができるぐらい。


一度聞けば分かるのだからやめてほしい。


思わずもれてしまったため息は、全て兄さんのせいにしておこう。


わたしの幸せが兄さんのせいで全部抜けていってると思うとムカつくけど。


今日はどんな嫌がらせが待っているのかな、と思いながら下駄箱を開ける。


上履きの上には白い封筒が一枚。


また呪いの手紙?


いい加減にもっとマシなものをくれればいいのに……


と思いながらもとりあえず中を見てみる。


その内容というと『放課後に体育館裏にこい』というまたしてもベタな呼び出し。


なんて王道パターン。



さて、どうしよう。


兄さんは相談しろって言ってたけど。


ここでこんな手紙をもらったなんて言ったものなら、恭くんとカインくんのことだ。


自分たちで犯人を探すとか言って乗り込んでいきそう。


二人とも優しいからなぁ。


そうするとわたしを呼び出した人たち(多分女の子だと思うけど)が可哀想だ。


その人たちはきっと恭くんやカインくんに好意を寄せているはず。


なのに、恭くんとカインくんがただの友達であるわたしの味方をして、自分が敵と認識されたらかなり辛いはず。


それならこんなことやめればいいのに、と思うものの、腹立たしく思う気持ちも分かるのであえておいておく。


わたし自身ダメージを受けているわけでもないし。


そういうところが更に腹立つ原因なんだろうなぁ。



……となると、これはわたし自身の問題ということになるのか?


人がきたので手紙をカバンにしまって悶々と考える。


こんなに真剣に悩むなんて久しぶりかもしれない。


でも考えれば考えるほど、自分がどう行動をすればいいのか分からなくて。


とりあえず放課後の呼び出しに応じてみよう、と自分の中で決めて本を取り出した。






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