不純な理由で近づきました。
――――――――――――――――――
――――
別段、特に変わったこともなく放課後になった。
ぼんやりとカバンに教科書やノートを片付けていく。
今思ったけど、呼び出しを受けたらどれぐらいで解放されるのだろう。
三十分……ぐらいかな。
だとしたらカバンはここに置いていっても大丈夫か。
「六花ちゃん!今日暇?」
顔を上げるとカインくんと恭くんの姿が。
久しぶりに放課後に時間あるんだ、と嬉しそうに笑うカインくん。
遊びたいオーラが漂ってますよ。
「、ごめんなさい。ちょっと呼び出されてて……」
「そっか……残念だなぁ」
肩を落とすカインくんに罪悪感。
背景に『ズーン』ってやつが見える気が。
でもどのぐらいの時間がかかるのかも分からないのに待ってて下さい、なんて……
そんな無責任なことは言えない。
「たまには恭くんとカインくんの二人で楽しんできて下さい」
「んー、そうしよっか。ね、恭」
「……あぁ」
じゃあまた明日、という二人の背中を見送ってからわたしも教室を出た。
少し時間が経ってしまったけど、まだ待ってるのかな。
だとしたらちょっと悪いことをしてしまったような……
自然と歩くスピードが上がる。
体育館裏に着くと、そこには見たことがあるようなないような女子生徒が六人。
………意外に多かった。
てっきり三人ぐらいだと思っていたので。
倍になってしまったよ。
「あの…」
声をかけると迫力のある顔がこちらを向いた。
め、目力がすごい。
これがメイクの力なんだろうかと少しだけ目を見張った。
「やっと来たわね。アンタ遅いのよ!」
「あ、すみません」
こればっかりはわたしが悪いと思ったので謝っておく。
でも時間の指定がなかったのも確かなんだけど。