不純な理由で近づきました。
素直に謝ったわたしに女の子たちは気分を害したらしく、眉間にシワが寄る。
謝っただけなのに……理不尽な。
「アンタさぁ、はっきり言うけど目障りなんだよね」
さっきから喋っているリーダーっぽい人がわたしの前に立つ。
それを合図のように囲まれたわたし。
さすがに六人だと逃げようとしても無理みたいで。
……リンチとかされたら一発で終わる、コレ。
「カイン様も恭様もみんなの王子なの。
アンタみたいに地味なのがチョロチョロしてると迷惑なのよ。
さっさと、消えてくんない?」
そうよそうよ、と同調するような声が上がるけど、個人がそれぞれに言うので聞き取ることができない。
わたしは聖徳太子じゃないんだから、話すなら一人ずつにしてほしい。
あと距離が近いからか、香水の匂いが混ざって気分が悪くなる。
思わず顔をしかめてしまったわたしを見て、リーダーの女の子が苛ついたように舌打ちをもらした。
「明日、カイン様か恭様、どちらか一人とでも話したら許さないからね」
と、言われても、
「いつも話しかけてくれるのは向こうなので無理です」
わたしから話しかけることなんて滅多にない。
用事があるときだけ、なんだけど。
別に話しかけるのが面倒とか嫌だとかいうわけではなくて。
ただ気づけば二人ともわたしのそばにいて、話しかけてくれる。
それが、どうしようもなく嬉しい。
「それに、あなたたちにわたしの行動を制限する権利なんてありません。
わたしはわたしのしたいことをします。
カインくんと恭くんの友達をやめるつもりなんて、ありませんから」
そう言うと、更に飛んでくる罵声。