不純な理由で近づきました。
メガネもなくて、暗いところに閉じ込められて。
助けなんか絶対に来ないこの状況。
恐怖を煽るのには充分すぎる。
怖い…怖いよ……っ
「たす、けて……」
誰でもいい、なんでもいい。
お願いだから、ここから出して。
「おねがい……誰か、気づいてっ!」
ガンガンと手が痛くなるぐらい強く扉を叩く。
出たい。
せめて、ここから出たいの。
「おねがい……っ」
恐怖が、涙となって頬を伝う。
このまま全部流れてしまえばいいのに。
恐怖も、不安も。
それなのに、時間が経につれて日は落ちて、恐怖は増す。
「ぅ…ふっ……ふぇ…」
怖いよ、助けて……助けて……誰か………
「―――――」
「……?」
今、何か……
「―――き――白崎っ―!!」
この、声……
「……くん…?」
間違えたり、しない。
この声は……
気づいて。
わたしはここにいるの。
助けて、ここにいるから。
ガンッ、と扉に手を降りおろす。
「恭くんっ……!!」
お願い、わたしに気づいて……
ガンガンと叩き続けていると足音が聞こえて。
「、白崎?」
荒い息遣いでわたしを呼ぶその声に、ひどく安心する。
あぁ、恭くんの声だ。
いつも聞いてる、恭くんの声だ。
「恭くん…助けて……」
恐怖とか、不安とか、安心とか……いろいろな感情がぐるぐるして、涙が溢れる。
ガコン、という音と一緒に扉が開き、微かな光が届いて。
わたしの目の前には、息を切らして汗を拭っている恭くんがいた。