不純な理由で近づきました。




「白崎、大丈夫か……?」



ドクン、と心臓が嫌な音をたてた。



恭くんが、見ている。


わたしを、見ている……



恭くんを怖がるなんておかしい。


恭くんはたった今、わたしを助けてくれた。


怖がる必要なんて、ない。


頭では分かっているのに……



ジワリ、と恐怖がこみ上げてくる。


理解しているのに、体が拒否してる。


怖いと、訴えてる。



「白崎?」


「、ゃ……」



顔を覗き込まれて、思わず背けてしまった。



最悪だ……


恭くんは、あんなに必死にわたしのことを探してくれて、助けてくれたのに。


こんな態度をとってしまうなんて……


恭くん、きっと怒ってる。



「ごめ、なさ……ごめん、なさい……っ」



今のわたしにできることなんて謝ることぐらい。


それで恭くんに許してもらえるかなんて分からない。


許してもらえないかもしれない。


でもいいの。


お願い、今は謝らせて……



「白崎……」


「……怖いの」


「怖い?」



戸惑ったような恭くんの声にわたしは頷く。



「人に、見られるのが…怖いっ」



こんなことを言われて、どうすればいいのかなんてきっと分からないと思う。


わたしが恭くんの立場なら絶対にそう。


だから、これ以上困らせちゃダメ……



「ごめん、なさい。も、大丈夫ですから、恭くんは行って下さい……」



呆れられた?幻滅、されたかな……


人に見られるなんて当たり前のことが、わたしには怖い。


こんな迷惑かけて……その上恩を仇で返すようなことをしてしまって。


自分が弱くて、弱すぎて、嫌になる。



不甲斐ないよ……







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