不純な理由で近づきました。




時計を見るとすでに二時を指していた。


わたしたち、どれだけあのお店にいたんだろう……


思わず呆れてしまった。



「兄さん。ちょっとお腹すいたから喫茶店とか入ってもいい?」


「お?いいぞー」



ここでいいか、と兄さんが入ったのはいかにもお洒落な感じの喫茶店。


まぁいっか、とわたしも兄さんについて歩く。


ここでもさっき同様(女の人の)お熱い視線を受けながら席につき、メニューを開く。


あんまり多く食べると夜ご飯食べられなくなるかな。


んー、でも食べたいものは食べたい。


せっかく兄さんといっしょに来て奢ってもらえるこの機会。


逃したくはないなぁ……



結局迷ったけど、わたしはミルクティーとフルーツたっぷりのパンケーキを。


兄さんはカフェオレとガトーショコラを頼んだ。


この人、見た目に反して超甘党。


まぁわたしもなんだけど。


母親も父親も甘党だったからか、子供のころからよく甘いものを食べていて。


その結果、見事に甘党な子ができあがった。


教育ってすごい……



「そういえば兄さん。わたし、昨日どうやっち帰ってきたの?」



ずっと気になっていたこと。


わたしの最後の記憶といえば、学校の体育館倉庫なわけで。


それとも、わたしが覚えてないだけ?


服だって着替えてたし……


首を傾げるわたしを、兄さんはフォークの先に刺さったガトーショコラを口に放ってから見た。



「あーそれな。昨日俺が六花に電話したときに、一ノ宮?とかいうやつが出てさ。
その理由聞いて、六花が気ぃ失ってるとかも説明してもらって、学校で拾って帰ったの」



じゃあ、わたしは起きてなかったんだ……あれ、服は?


と思ったわたしにサラリと服は俺が着替えさせたと兄さんは言った。


躊躇いなく兄さんの足を踏んだのは当然の反応だと思う。







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