不純な理由で近づきました。




「……何、その顔」



兄さんは思いっきり顔をしかめていて。


兄さん……もっと感情をオブラートに包もうよ。


と言うと、



「りっちゃんはもっと表情を表に出した方がいいよー」



……とナルちゃんに言われてしまった。


そんなに無表情なのかな、わたし。



「じゃありっちゃんが誘ってくれたし、行こうかなー」


「ぅえぇー」


「やった!ナルちゃんの好きなホワイトソースのオムライス作ってあげるね」


「わあい。ありがとねーりっちゃん」


「俺のこと無視!?」



という兄さんの声は聞こえないふりでナルちゃんと車に向かう。


その後肩を落とす兄さんを見て、もう一度わたしとナルちゃんは顔を見合わせて笑った。





一度家に戻り、卵がなかったのでナルちゃんと買い物に行き。


結局夜ご飯を食べたのは八時頃だった。


いつも七時ぐらいにはご飯食べてるからヘンな感じ。



「ナルちゃん、おいしい?」


「うん。りっちゃんは料理上手だねー」


「ふふ、兄さんと毎日腕試ししてるからね」



お互い、さすが兄妹というか。


負けず嫌いだからどんどん上達しちゃったんだよね。


今のところ洋食と中華では兄さん。


和食とスイーツだとわたし、が勝ってるかな。


兄さんが和食好きだからわたしが和食を得意になり。


わたしやナルちゃんが洋食好きだから、兄さんはそっちが上達したという。


一応わたしは料理全般できることはできるんだけどね。



こういう、周りのために動けちゃうところが兄妹だね、って母さんによく言われてたっけ。



「ごちそーさまでした」


「はい、お粗末さまでした」



うん。やっぱりこうやって綺麗に食べてくれると嬉しい。


兄さんにはいつも作ってるからありがたみが薄れるけど、たまに他の人に食べてもらうと改めて感じる。







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