不純な理由で近づきました。
今日はいつもより遅く家を出たせいか、同じ制服を着た人たちがちらほらと道を歩いている。
あぁ、もう、兄さんとナルちゃんがいかにも具合の悪そうな顔をしているから。
と、責任転嫁をしてみる。
約七割がやつ当たりで残りが本音である。
学校に着き、くつ箱を覗いてみると、中には怪しい手紙も画鋲も見あたらない。
それを確認してから教室に向かう。
教室に入るとすでに恭くんもカインくんもいて。
わたし、そんなに遅くに来たのか、と少し驚いてしまった。
「あ、おはよう六花ちゃん」
「お、おはようございます」
ドキリとしながらできるだけいつも通りに挨拶を返す。
その甲斐あって、カインくんはわたしの様子にはあまり違和感を感じなかったらしい。
「昨日は六花ちゃん休みだって聞いてびっくりしたよ」
体調大丈夫?と聞くカインくんにわたしは頷く。
まぁもともと兄さんが念のために休ませてくれたというか。
あれはわたしが精神的に弱いから倒れちゃっただけで、体調の面では問題はない。
「恭も心配してたよ。ね?」
「……まぁ、な」
どことなく歯切れの悪い恭くん。
多分、いや、間違いなくその原因を作ってるのはわたし。
あんなことをしてしまったあとだから、わたしもちょっと気まずい。