不純な理由で近づきました。




そうだよ……ちゃんと話さなきゃ。



恭くんには、知る権利がある。



「その前に、食う?」


「あ、はい」



お互い、特に何かを話すわけでなくご飯を食べる。


今日のお昼は前の仕込みをしてなかったので、簡単にサンドイッチにした。


ちょっと手抜きだけど、わたしのお弁当だし……


うん。兄さんも文句はないはず。


そういえば、二日酔い大丈夫だったかな……



「メガネ、替えたんだな」


「え?あ、はい。
その……壊れたので」



それはもう目の前でボロボロに。


あの残骸、どうなったんだろう。



「青のそれも、いいと思うぞ」



まるで慰めるように褒める恭くんに目を丸くして。



「あ、ありがとう、ございます……」



なんとかそれだけを返しておいた。



びっくり、した……


まさか褒められるとは。


いや、本音を言うとあわよくばみたいな欲がないこともなかったけども。



……ちょっと嬉しいな。


メガネのことに気づいてくれたこととか、褒めてくれたこととか。


心があったかくなる。



「昨日のこと、聞いてもいいか?」


「……はい。わたしも、ちゃんと話したいと思ってましたから」


「あ、や、嫌ならいいんだけど。俺が気になってるだけだし」



少し慌てるような恭くんの様子に笑みがこぼれる。




大丈夫、ちゃんと話そう。


恭くんになら……話せる気がするから。


過去に、向き合えるような気がするから。




「……昔は、メガネなんてかけなくても大丈夫だったんです。

でも………」





あの日から、世界が怖くなった。









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