不純な理由で近づきました。




「やっぱり、そうだったんだ……」


「おかしいと思ってたんだよね」




わたしの言葉を合図のように、ザワザワとうるさくなる教室。


まとわりつく、たくさんの視線。



体が、震えた。



向けられた視線が、あまりにも好意的とは思えなくて。



『かわいそう』



それだけならまだよかったのかもしれない。


でもそこから感じられるのは



『興味』

『恐怖』

『好奇心』

『嫌悪感』

『侮蔑』



子供だったから、そのとき言葉では表せなかったけど、そんなものしか伝わらなくて。



怖くなった、その視線が。


見られることが、どうしようもなく怖くなった。



名前を呼ばれたような気がするけど、そんなものは無視してわたしは学校を飛び出した。


ただただ、あの場所にいたくなかった。



恐怖で、どうにかなってしまいそうで。


怖くて、怖くて……怖くてたまらなくて。


息が苦しくなるぐらい走った。



けど………




「はっ、はぁ……っ」



外に出ても、人が、見ている。


わたしを、……



「ひっ……!!」



ミ テ イ ル



「あっ……」



やだ……怖い………



やだ……っ


いや……!!



見ないでっ!!!


その視線を、わたしに向けないで!!



「やだぁっ……」



向けられる視線を振りきるように走った。



怖くて、安心したくて。


その一心で、あの場所に向かった。





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