不純な理由で近づきました。
ただ、恭くんはわたしの話に頷いてくれた。
「白崎の気持ちは分かる。でも、お前は周りの気持ちを考えすぎだ。
もっと自分のことも気づかってやれ」
「自分を、気づかう……」
よく分からない、というのが本音だと思う。
「あー、とりあえず。まずは俺を頼れぱ?」
「えっ」
びっくりして顔をあげるとすぐ近くに恭くんの顔があって。
ドキリ、とした。
どういう意味なのかという疑問が頭の中から弾け飛び、真っ白になる。
そんなわたしを見て、恭くんはふっと笑って。
「白崎が少しでも辛かったり、寂しかったり、悲しかったり……誰かにそばにいてほしかったり。
そういうときは俺を呼べ。
すぐ、駆けつけてやるから」
な?と言う恭くんの優しさが、心にじんわりと染み渡る。
そして、視界がぼやけていっぱいになった気持ちが、瞳からこぼれ落ちた。
「あ、れ……?」
拭っても流れてくる涙に自分でもびっくりして。
止めたくても止められない涙と、こぼれそうになる嗚咽を噛みしめる。
「俺の前では我慢すんな」
そっと、再び頭が恭くんの方に引き寄せられる。
それが合図のように、わたしは恭くんの背中に手を回し、静かに涙をこぼした。