不純な理由で近づきました。




……メガネを指さした?



「え?あれ?」



わたし、メガネかけてない?


なのに、恭くんと話ができてる。


怖く、ない……



「なんか、大丈夫、みたいです……」



自分でもかなりの驚きだ。


それほどまでに、恭くんに心を許してるってこと?


頭の中でぐるぐるとそんなことを考えていると、不意に頬を優しいぬくもりが包んだ。


思わず、思考がストップする。



「きょ、く……」


「それは、少しは俺に心を開いてるってこと?」



真剣な光を浮かべる瞳をひしひしと感じながら、わたしはこくこくと首を縦に振る。



多分、自分でも気づかないうちに、わたしは恭くんに心を開いていた。


そばに、隣にいることが当たり前になっていたんだ。


それに気づいたのがメガネのおかげってどうなんだろう……



「……どういう意味で心開いてるのか聞いても無駄なんだろうな」



恭くんの呟きに近い言葉に、わたしは首を傾げる。


どういう意味って……逆にどういう意味なのか気になる。



「俺、多分白崎のこと……」


「、え?」



小さな声だったので、最後の方が聞こえなかった。


でもすごく真剣というか、凛とした声だったような……



「なんて言ったんですか?」



教えて下さい、と言ってみるけど、曖昧な笑みではぐらかされる。






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