不純な理由で近づきました。
*夏休みが始まります
「やめ!!」
先生の合図でシャーペンを置いて回答用紙を前へ送る。
テストが終わったことへの解放感からか、教室がいつもより騒がしいような感じがした。
「六花ちゃん!テストどうだった?」
「赤点はないと思いますよ」
化学はできた気がしませんが。
と心の中で呟いていると、カインくんからよかったね、と言葉をもらった。
「そういうお前はどうなんだよ」
「多分補習にはならない、はず……」
「なったら困る。俺と六花の苦労が報われない」
はぁ、とため息を隠さずにこぼす恭くんに、わたしも苦い笑みを浮かべた。
この間、期末テストが近いから、と三人で勉強しようと図書館に集まっていたとき。
「恭。これ分からない」
「どれ…って、これ高一のときやったやつだぞ」
え、と思い顔をあげると、カインくんが恭くんに何か質問しているところみたいで。
でもカインくんが指しているのは高一のときにやった数学の平方完成。
わたしは思わず目を丸くしてしまった。
「頂点とかそんなの考えるのめんどくさい」
「めんどくさいじゃねぇよ。これ解かないと答えでないし」
「えぇー」
「『えぇー』じゃねぇ。だからこれはこうやって……」
「分からん」