不純な理由で近づきました。
そのおかげで今回はできた気がするなぁ、とぼんやり考えていた。
「今日は久々にゆっくりできるね。
あ、せっかくだし三人で遊びに行こうよ!」
「駄目」
キラキラした瞳をしたカインくんに、無表情に近い顔でバッサリと断る恭くん。
あぁ……カインくんが恨めしそうに見ている。
恭くんもそんなにバッサリ切らなくても……
思わず苦笑がもれた。
「恭くん、わたしに気を使わなくてもいいですよ?」
今日は一緒に梓さんの本屋さんに行こう、と誘われていて。
でも三人で遊ぶのも久しぶりだしいいと思う。
「え、何?二人で約束でもしてたの?」
心底驚いたように目を見張るカインくん。
恭くん、カインくんに言ってなかったのか。
目でそう聞いてみると、ふっと笑みを返された。
「俺と六花の秘密、だよな?」
耳をくすぐる甘い声。
ドキリと胸が高鳴った。
うわぁ、甘い……甘すぎる。
最近、恭くんはよくこんな風に甘い声を囁いたり、笑顔を見せたりする。
多分、あのときから……
恭くんが『遠慮しない』って言ったときから、だと思う。
ただでさえセクシーなバリトンボイスなのに、意図して甘い声を出すんだもん。
心臓がもたない……