不純な理由で近づきました。
行ってみたいところは、ある。
でも、ここまで図々しく言ってもいいのだろうか……
「言うだけなら問題ないだろ」
「、え」
「言ったら?」
……恭くん、わたしが迷ってたのに気がついた?
思わず恭くんの顔を見つめると、肯定するように頷かれて。
……なんか、嬉しいな。
じんわりと、胸にあたたかなものが染みるような、降り積もっていくような、そんな感覚。
恥ずかしくて、でも心地よくて。
あぁ、わたしの柄じゃない。
「じゃ、じゃあ、わたし……二人の家に行ってみたいです」
キョトン、とするカインくんと恭くん。
「家?ボクと恭の?」
「はい」
前から二人の話を聞いているとき、たまにお互いの家で何々をした、という話があって。
楽しそうで、わたしもそこに混ざりたいというか……
行ってみたいな、と前々から思っていた。
「でも、いきなりは困りますよね」
家の人の用事とかもあるだろうし。
予想通り、カインくんは家にお姉さんがいるからダメで。
恭くんも都合が悪いということだった。