君に出逢えた奇跡
「美空、こっち」
聞き慣れた蒼汰の声。
「うん‥。」
蒼汰は助手席に私を乗せてくれた後、自分は運転席に乗り込んだ。
「美空、来てくれてありがとう‥怖くなかった?ここに来るの‥」
全く怖くなかったと言ったら嘘になる。
それでも‥
「会いたい気持ちが勝った」
「そっか。良かった。じゃあ‥行くか」
車を発進させた蒼汰。
「どこに行くの?」
「とりあえず海でも見に行くか?」
「うん。」
私の地元も今住んでる街も海までは結構な距離。
海は好きだけどなかなか行けない場所。
「海、好き?」
「好き」
「良かった。俺の地元は海がすぐそこだから昔は海なんて当たり前にあるものだったけど、今はホント海が時々恋しくなる。」
また知らなかった蒼汰の事を一つ知れた。