{♡}す き だ っ た 。
6
ゆうすけの口元からスーーっと白い煙の筋がでてきた。
まって、
もってるのって
煙草、、?
クラスの男の子がふざけて煙草の話をしているのは聞いてたけど
本当に、目の前で吸ってるのを見たのははじめてだった。
しかもゆうすけ。
「そ、それなに?
なにしてるの?」
『だいじょーぶ。おもちゃ。』
「なんだ、良かった」
信じたふりをした。
信じたかった。おもちゃだって。
でも絶対違う。
彼はコンクリートとの地面にジュッて煙草を押し付けて火を消した。
彼はおもちゃじゃないことを認めて、
ポケットからライターと煙草の入った箱を取り出した。
『これ昨日友達からもらったんだよね〜。女子ってさ、煙草嫌いだよね。なんで?』
「普通に子供が吸っててもカッコよくないもん。バンドマンが吸ってるぶんにはカッコいいと思うけど。」
『別にカッコつけてるわけじゃないんだよ』
なんか、すごい遠い人に思えた。
壁みたいな、なんか。
怖かった。私の知ってる人じゃないとすら思えた。
「でも…早く死んじゃうんだよ?やめなよ。」
『ゆりにさー、煙草見せたら貸してって言うの。なんで?って聞いたらさ、潰すからって。かっこよくない?』
「さすが…だね。笑」
『そこまで言われたらさなんか、大事に思われてる気するよね〜
でもその煙草は友達のだからゴメンって言った。』
ムカついた。
私だって心配してる。吸って欲しくなんかない。体壊して欲しくない。
「ほんとに体に良くないからやめなよ」
『もー俺ゆりに煙草潰されるまで吸い続けることにしたから』
ふざけんなよ。
なんで?
「ばっかじゃないの!?
その400円と自分の体どっちが大事なの?」
ゆうすけは強い空手の選手だったから
本当に体壊して欲しくなかった。
『400円』
「もー知らない!いっぱい吸って早く死んじゃえば?なんでわかってくれないの??」
思ったより声を張って言ってしまった。死んじゃえって私、なんでこんな可愛くない事しか言えないんだろう。
でもゆうすけは私が怒れば怒るほどニヤニヤしてなんか嬉しそうだった。
『分かったよ』
ってその辺の塀の隙間にタバコの箱を隠しといて
『封印!どっか遠いところに行ってみよ?』
と言った。
「うん」
とりあえず安心した。
『駆け落ちしよ』
「駆け落ちってなに?」
『調べてよ』
「愛し合う男女が親などの反対から逃れるように遠くへ行き同棲すること
…別に愛し合ってないし同棲しないし!!」
『いーじゃんいーじゃん
俺だって毎日あんな部屋散らかされたら嫌だわ!笑』
「うるさーい」
ちょっぴり遠いけど、広くて綺麗な公園までちびちびと歩き出した。