嘘を重ねて。



ふと思い出す記憶も
全部全部 翔琉に繋がってしまう


今見えているこの景色でさえも

翔琉に見せたいと そう思ってしまう



「ゆ…え…結映!!どしたの?ボーっとしちゃって」



「え、あ、ごめん!!…何でもないよ~」



花奈に呼ばれてようやく意識を戻すと
花奈は不思議そうにクスクス笑った



「そーいえば結映の知り合いのあの人!どんな関係なの?イケメンだったけど!!」



「あー・・・・・タクのこと?」



「そう!!あんなイケメンなのに彼氏じゃないとか…信じられないよっ!!」



今まで何となく躱してきたこの質問

しつこく聞いてくるので
私は渋々口を開いた



「元彼だよ」



「元彼!?なんで別れちゃったのよ!!」




“色々…あったからさ?”とだけ言い残して
花奈から離れる

すると後ろから“明日聞くからね!!”と
声が聞こえた気がした




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