嘘を重ねて。




「授業終わるぞー。」



“やっと飯…腹減ったー”

“やっぱアイツの授業だとだるいわー”


午前の授業を終えた教室を
私はいつもの通り

足早に出る



“ガチャ”


屋上に出ると
雨はまだ止んでいなかった

そんな空を少し眺めて
私はお弁当を置いて

静かに空の下に立った


雨は容赦なく降り注ぐ


「冷たい…」


そう口にすると


「当たり前だろ。雨なんだから」


と後ろから笑い混じりの声が聞こえた



「翔琉…今日も来たんだ?」


「来ちゃ悪かった?結映こそこんな雨なのに」


翔琉はそう言って
静かに私に近づいた


「…なんか、あったのか?」



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