嘘を重ねて。



私はもう一度
空を見上げると小さく

「ないよ…何も。」

そう呟いた


今私はどんな顔をしてる?
きっと酷い顔なんだろう


翔琉は
「そっか…」とだけ言うと


背を向けて歩き出した


「風邪引くぞ。ちゃんと拭けよ」


「ありがと」


去っていく翔琉


この時
「俺じゃ、ダメなのか」
と呟いたことを知る由もなかった


嗚呼やっぱり
雨は、嫌いだ




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