嘘を重ねて。
翔琉の側から離れた後
私は意味も無く街を歩いていた
よく考えてみれば
制服で街を歩くのは久々で
…メイクもあまりしていないお陰で
見知った顔の人とすれ違っても
私だと分かる人は居なかった
時刻は午後8時
街は夜の賑わいを見せている
人が行き交う中で私だけ
別世界にいるようだった
近くの会話も
すれ違う人さえも
スローモーションのように見える
自分だけが独りぼっち。
そう思った瞬間から
私の中は孤独感に苛まれた
世界の全てが私の敵に見えて
怖くて怖くて仕方なくて。
目をギュッと瞑ったその時
「ユエ?」
誰かが私の名前を呼んだ