嘘を重ねて。
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音楽が鳴り響く店内
少し暗めの照明に照らされて
私はグラスを口に運んだ
「ユーエーちゃんっ」
「…」
「釣れないなぁー。俺と遊ばない?」
ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべる男
一体どこで私の名前を知ったのか
「…気持ち悪い」
そう静かに言い残すと
私はカウンターから離れる
背を向けて歩き出した時
男が怒りを顔に浮かべて腕を掴んだ
「女だからってなめんなよっ」
男は無理矢理キスをしようとしてくる
「やめて…っ」
さすがの私も男の力には及ばない
“もうだめだ”と思ったその時
“グッ…”
「はーい。汚らわしい手でユエに触んな」
「タク!!」
後ろに強く引かれ
タクに抱き抱えられた
「…チッ」
タクの言葉に男は舌打ちをして
店の外に消えていく
ホッとして息を吐くと
タクは私の手を引いて
無言で部屋まで歩き出した
「ちょ…ッ…タク?」