嘘を重ねて。




「全然待ってないよ それよりユエ…」


そう私の名前を呼んだタクは
そっと私の頭を撫でる


「タク…?どうしたの?」


タクは優しく微笑んで言った


「ただ…ユエが辛そうな顔してたから、さ?」


「…っ!!」


“顔に出ていたのか”と驚きを隠せず
息を呑む


そんな私を察したのか
タクはそっと私を抱き寄せた



「ユエは隠してるつもりかもしれないけど俺には分かっちゃうんだよ。俺には言いな?ね、?」



いつもの様に“クスッ”と笑う

その言葉の真意を探ろうとしても
私には到底分からない


「…うん」


…それでも、甘えてしまうんだ
タクの優しさに。



「よろしい。んじゃあ行こーか。」


車のドアを開くと
“お嬢様、どうぞ?”なんてクスクス笑うタク


私は“クスッ…はーい。”と返して
車に乗り込んだ


「今日からお世話になりまーす」

「はいはいーお世話しまーす」


テキトーな返事のお返しに
脇腹をつつく

思惑通り情けなくタクは
“ヒャッ”と声を上げた


…こうしてタクとの生活が始まった





















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