嘘を重ねて。



「できたよータク起きて」


ベッドの上から思いきり枕を振り下ろす

すると“うぐっ”という声がして
ムクッとタクが起き上がった



「痛いよー暴力反対」

「ごはんできた。食べないの?」


タクの言葉をスルーしつつ
テーブルを指さす


するとタクはベッドから飛び降りて
椅子に座った


「これ、ユエが作ったんだよね」


食べ始めてから暫くして
タクが小さく呟いた


「そうだけど‥‥」


“不味かった?”と恐る恐る聞くと
タクはクスクス笑う


「美味過ぎた、ユエありがと」


「う、うん、このくらいなら全然」


突然の素直な感謝に戸惑ったが
私も素直に返事をする


食べ終わるとタクは

「着替えてくる」

と言って奥の部屋に消えて行った



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