嘘を重ねて。

‥‥昨日

てっきり私は
BARの方に連れて行かれると思っていた


でも車から下ろされたのは

超高層ビルだった



「ここって‥‥」

首が痛くなるほど高いビルを見上げる


「ん、俺ん家だよ。我が家へようこそー」


そんな私を見てタクは呑気に言った



“こっちこっち”と私の手を掴むと
エレベーターに案内する


‥‥着いたのは最上階の一室だった。


「はいここ。中にどーぞ」


「お邪魔します‥‥」


あまりの驚きに何も言えないまま
部屋へと通される


“好きなとこ座って”と言われ
取り敢えずソファーに腰を掛けた


「ねぇタク」

「んー?」


私の隣に座ったタクに
「タクって何者?」
と問い掛ける


するとタクはお腹を抱えて笑った



「ちょっと、そんな笑わなくても、!!」


「ごめんごめん」


両手を挙げて見せるタクは
“知らない方がいいよ”と言って答えなかった

暫くして
タクが突然手を叩いた


「それよりお風呂入ろ?」

「え、あ、ちょっ」


半ば強引に浴室まで連れて行かれる

拒否するも虚しく
私とタクは一緒に入るハメになった


「はい。ユエも浸かりな?」


タクが先に湯船に浸かったので
私はその前にちょこんと体育座りになる


すると後ろから“ギュッ”と抱き締められた



「ユエあったかいな」




< 47 / 116 >

この作品をシェア

pagetop