嘘を重ねて。
「ユエー何してんのー?」
「何もしてないよー?ただボーっとしてただけ」
本当の事を簡潔に伝える
するとタクは“ふーん”と軽く返事をした
「ねぇ、タク-今何時なの?」
此処に来てからどの位経ったのか
窓の外を見るとすっかり日が落ちていた
どうやら夜なのは間違いないけど…
この部屋には時計が無く時間が分からない
「んーと、もうすぐ11時かな」
「もうそんな時間なの!?」
思っていたより遅かった
此処に来てからもうそんなに経ってたんだ…
きっと時間の流れが速く感じるのは
忙しなかったからだろう
「さて。じゃあ、寝ようかな」
そう言ってベッドに入ると
タクも隣に入って来た
「ちょっ、タク、ここで寝るの!?」
「んー?今更だろー風呂まで一緒に入ったし?」
クスクス笑うタク
私はベッドから追い出そうとして
タクの身体を押してみたり…
そんな抵抗も虚しく
いとも簡単に私の方が押し倒されてしまった
…形勢逆転、っていうやつ
「ユーエ。あんま拒否されると傷付くんだけど?」
「…っ」
ニヤリと妖艶な笑みを浮かべるタク
…この笑い方の時は
“キケンな予感がする”
そう直感が言っている気がした
どうにか身を捩って逃れようとするが
「はい、ユエチャン。脱走禁止。いい子にしよ?」
そう言ったタクに
手を頭の上辺りに束ねられてしまった
…タクがあの顔で笑った時
それはスイッチが入った証拠なのだ
「ユエ」