嘘を重ねて。
耳元で囁くように私の名前を呼ぶ
「…っ」
吐息が耳に掛かって擽ったい
…きっとわざと
それは
「あれ、顔真っ赤だー。感じちゃった?ハハッ」
「…っばか」
私は耳が一番感じやすい事を知ってるからだ。
「ユエ」
私の名前を呼ぶ声
…今日のタクは意地悪だ
“フイッ”と顔を逸らすと
やっと解放されて。
私は無言で深くベッドに潜り込んで
顔を隠してタクに背を向けてやった
「ユエー。ねぇ。怒った??」
「ユーエ。ごめんって。ね??」
背中の方から謝罪の言葉が飛んでくる
…絶対に返事なんてしてあげないんだから
そう心の中で決めた時
突然、私の身体を温もりが包んだ
「ユエ」
この温もり
「ごめんね??」
この優しさ
「許してよ。」
…私はやっぱり、弱い
タクを突き放すなんて、出来ないんだ。
“フ-ッ…”
小さく息を吐くと
そのまま目を閉じた
「しょうがないから許す」