嘘を重ねて。



「ほんと!?ありがとーユエ。ハハッ」


タクはそう言って
私を抱き締める力を強くした

…嗚呼、やっぱり
落ち着いてしまう


「苦しいんだけどー」


なんて言ってみると
タクは“ウソつけー。”と相手にしてくれなかった


「ユエいい匂いする」


そう言って“クンクン”と香りを確かめるタク
私は軽く抵抗しながら笑う


「タクも同じ匂いでしょー?フフッ」


「そーだけど」


そう言って今度は2人で笑った

当たり前すぎる事をタクは言うから
可笑しくて仕方ない


「おやすみユエ」

「‥‥おやすみ」


暫くしてそう言葉を交わすと
タクの腕の中で眠りの世界へと落ちた



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