嘘を重ねて。
駅に向かって歩いてる間に
どこに行くかを話し合って‥‥
最近人気のスイーツを
食べに行くことになった
「‥‥何このすごい人の数」
到着して驚いたのは
予想を遥かに超えた人口密度
‥‥この中を歩くのかと思うと気が遠くなる
「ユエ、はぐれんなよ?」
タクに手を引かれながら
人の波を歩き出した
「ユエ、これ絶対似合う」
「えー。ないない似合ないよ」
時々店に立ち寄っては
こんな会話をして‥‥
周りから見たら恋人同士に見えているのかも
なんて思うとどうしていいか分からなくなった
「ユエ?なに暗い顔してんの」
「‥‥」
何も返せず黙っていると
タクは柔らかく笑った
「何も心配しなくていいよ、俺について来れば」
たったその一言で
少し胸が軽くなった気がした
それはやっぱりタクだからなんだ
「すごい並んでる‥‥」
やっと目的のスイーツ店にやってきたものの
此処も人気店なだけあって
人で溢れかえっていた
「何時間並ぶんだろ‥‥」
絶望的なその人数に
溜息を吐くとタクが
“ちょっと待ってて”
と言って列の先頭の方へ歩いて行った
取り残された私は
仕方なく列の最後尾に並ぶ
‥‥それにしても
タクは何を考えているのだろう