嘘を重ねて。
何が正解なのだろう
でも今の私にとって
タクの好意を拒否する理由など
何処にも無かった
「私で良いの、?」
もう一度確かめる様に問えば
いつもの様に柔らかく笑って頷くタク
「ユエが良いんだよ」
その言葉で私の心は勿論決まった
「よろしく‥‥お願いします」
そう伝える
するとタクからは
緊張感から開放された様子が見えた
そして私をもう一度見つめると
「ユエ‥‥愛してる」
そう言ってまた 笑った
いつも暗闇に居た私
家族から愛を与えられず生きてきて
居場所がないまま苦しんで
そんな私は身体でその痛みを埋めようとした
タクと出会うまでに
何人の男に抱かれただろう
‥‥そんな時にあのBARでタクと出会った
『‥‥名前、ユエちゃんって言うの?』
突然声を掛けられて
戸惑ったのを今でも昨日のように思い出せる
その時からだ。
他の男と一切寝なくなったのは。
その時からだ。
‥‥タクだけが私の居場所になったのは。
どんなに偽りの“愛してる”でも
それが 唯一の救いだった
それが今
現実のものとなって
私だけに そう 私だけに
偽りの言葉なんかじゃない
本当の愛の言葉を
タクからもらってるんだ‥‥