嘘を重ねて。



ーーーーーーピッ‥‥ピッ‥‥ピッ‥‥


「‥‥っ」


規則正しい電子音で目が覚めた私は
病院のベッドに居た


身体を起こそうと力を入れる

しかし少しも動かせず
代わりに全身に痛みが走った


苦痛に顔を歪めた

「っ」

その時“ガラガラッ”とドアの開く音が部屋に響いた

誰なのか確認したくても
身体が言う事を聞かない


徐々に近づいてくる足音

その足音が途切れると
ベッドの傍に誰かが座った



「早く目覚ましてよ‥‥このままじゃ俺…っ」


そう呟くなり私の手を握り
また黙ってしまった


この声
この触れた感触…‥‥


私はそっと手を握り返した


「‥‥タク、泣か…ないで…よ」


力を振り絞ってそう呼び掛けると
その誰か…タクが驚きながら私の視界に
飛び込んできた


「ユ…エ…っユエ!!」


「そん…な呼ば…なくて…も生きて…るよ?」



力なく笑って見せるとタクは私を抱き締めた




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