嘘を重ねて。
「ユエ」
涙でぐちゃぐちゃの顔を見つめて
タクは優しく笑った
「行けよ」
止まって欲しいのに
涙は止まってくれない
それを見てタクは
また困ったように笑うんだーーーー
「後悔する。今追いかけなかったら。」
「…っ」
「…離したくないよ、本当は」
「…っ…ん…」
「でも…好きな女の幸せ願えないなんて最低だろ?」
タクはそっと私の頬を伝った涙を拭った
前に進まなきゃいけない
私は精一杯の笑顔を作った
「タク」
「…うん」
「ありがとう…っ」
また溢れそうになった涙を堪えて
私はクルっと背を向けた
もう 振り向かない。
でも、
一歩踏み出すのが怖くて
私はその場で立ち尽くしていた
「ユエ…行ってこい…っ」
タクがそう言って私の背中を押した
そうだ…行かなきゃいけない
「うん…ッ」
私は走り出した