誰よりも
「わたしは、あなたのこと、大好きなのっ
あの人に、何言われたのかなんとなくは聞いたよ?
でも、いつものあなたならそんなことで…そんな風にならないわよね?
何で?どうして?
わたしっ!馬鹿だからっ…分からないことあったら聞いちゃうのっ!
あなたの全てを知ってるわけじゃないから知りたいと思って聞いちゃうのっ!
だから、教えてくださいっ!」
わたしの身体を彼がフワッと包み込んだ。
「あの人に、君の元彼に、言われたんだ。
選ぶのは、お前じゃない、君だって。
そしたら、急に、あんな強気だったのに…急に怖くなって。
君が、あの人との人生を選んだらって。
君が僕を好きなことも知ってる。
でも、好きな人には、好きな人が一番輝ける場所に行ってほしいって思って…。」
「…あなたは、わたしがどこで一番輝けるか、知っているでしょう?
わたしは、あの人の元なんかじゃ輝けないわ。
あなたがいないと輝けない。
むしろ、あなたがいいわ。
わたしは、これからの人生、あなたと歩みたいのっ」
我ながら大人になったと思う。
昔ならこんなこと言えなかった。
別れたくない。
嫌だ。
そんな言葉しか出てこなかったわたし。
でも、今は違うの。
「あなたがそばにいてくれるだけで
わたしは、強くなれたのよ?
あなたは知らないでしょう?
わたし、凄く変わったのよ。あなたのお陰でっ」
そう言って
今度は、わたしがあなたを抱きしめ返すの。