pure
「ずっと見てなかったから。」
ひなの真似をする。
「もうっ!」
グーで俺の胸を突く。
「もっと顔、見せて?」
ひなの顎に手をあてて顔を上に向ける。
真っ赤な顔。
目がだんだん潤んでくる。
ひなの手が伸びてきて、俺の頬に触れる。
「怪我・・・・・・」
もう、腫れは引いたけど、傷はまだ残ってる。
俺の情けない証。
「大丈夫・・・・?」
心配そうな顔。
優しく笑って
「大丈夫。」
ひなを抱きしめる。
「ケンカ・・・・・したの・・・?」
「・・・・・・・・・」
ケンカなんていいもんじゃない。
ただ、やられただけ。
俺は何にも出来なかった。
智久も助けてやれなかった。
あいつは体も心も傷ついて。
俺は救ってやれなかった。
もっと、いい解決方法があったはずなんだ。
あいつのSOSにもっと早く気づいてやれれば・・・・
「優君・・・・・?」
「ひな、俺、情けないんだ。」
俺の言葉を聞いて、首をかしげるひな。
「カッコわるい。」
ひなを片手で抱いて、顔を見る。
ひなは俺の顔をジッと見る。
俺は、話し出した。
なんで、この傷が出来たか。
ひなは黙って聞いた。