pure
「予備校?」
お昼休み、お弁当を食べながらみんなに言ってみた。
「なんで?」
今まで聞いたことないぐらい低い声で仁君が言う。
「あ、あの・・・・」
足を組んで不機嫌な顔で見られるから、どうしていいかわからなくなる。
だって仁君はいつも笑顔で優しくて・・・
「仁、しょうがないじゃん。ひなの狙ってる大学って難しいんでしょ?俺らの相手してるヒマないって。」
タカ君がフォロー入れてくれるけど・・
「・・・・・・」
不機嫌なままの仁君は私に背を向けてご飯を食べだす。
涙出そうだ・・
仁君にこんなに冷たくされたことないよ・・・
「予備校って毎日?」
私の頭を優しくなで、優しい声で優君がしゃべる。
「・・・わかんない・・・今から探すから・・・」
「予備校休みの日は俺らの相手してくれる?」
「ん・・」
やわらかい笑顔。
嬉しいはずなのにズキンと胸が痛む。
優しくしないで・・・
もっと好きになるよ
その日は仁君はずっと不機嫌で私と目を合わせてくれなかった。
予備校の見学に行くために放課後は残らない。
予備校を探しに行くのは週末でも良かったんだけど、なんだか気まずかった。
「ひなちゃん!」
帰ろうとする廊下で凛ちゃんに呼び止められる。
凛ちゃんは私の右手を両手で握って
「勉強の邪魔しないから!だからこれからも凛と遊んでくれる?」
目をうるうるさせて凛ちゃんが言う。
「当たり前だよ!なに言ってんの!」
珍しく大きな声で言うと凛ちゃんはすっごい笑顔で
「ありがとう!」
ってギュって抱きついてきた。