pure


ひなと並んで歩く。



手もつながずに。




そんな気分になれないのはひなのせいじゃない。



俺のせい。



それでも横を歩くひなは不安そうで。



俺何やってんだろ。



ひなが喜ぶような言葉も言えない。



自分が嫌でしょうがない。




もうすぐひなの家に着くいうところで俺の半袖の裾をギュッと握り締めたひな。




ひなを見ると不安そうに目を潤ませている。



「あの・・」



何か言いたそうに言葉を選んでいるのがわかる。




「ん?」



俺はなるべく優しく問う。




顔を真っ赤にしたひなが



「もうちょっとだけ・・・・・・・一緒に居たい・・・」



小さな声で言った。



俺、なに言わせてるんだろう。



これほど自分を情けなく思ったことはない。



それでも驚きと嬉しさで言葉が出ない俺に




「ごめんなさいっ・・・疲れてるんだよね。私何言ってんだろ。ほんとあのっ・・・」



焦って言うひなが可愛すぎて。



ひなの腰に手を回して。




「ひなと一緒に居て疲れるとかないよ。俺も一緒に居たい。」



赤い顔がばれないように耳元で小さく囁いた。



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