pure
それぞれの夏休み
●ひな


夏休みに入った。


いつも夕方、予備校が終わった時間に優君が駅まで迎えに来てくれる。


少しの時間だけだけど、会いに来てくれていることが嬉しい。



「おかえり。」


優しい笑顔でいつも迎えに来てくれる。



手をつないで。



でもね?



駅前を二人で歩いてると、いつも視線を感じる。



女の子から・・・・・



やっぱ、かっこいいよね?



私服もいつもかっこよくて・・・


今日は赤いTシャツに破れたジーンズ。


首から皮ひものネックレスがちらっとのぞいてて。


足元はビーチサンダル・・・・


楽だからって言ってるけど・・・


背も高いし、細いのに筋肉が程よくついた腕。


いつもつけてる大きい腕時計に皮ひものブレスレット。


分けた長い前髪からのぞく切れ長の瞳。


すっと伸びた鼻筋。


こんなカッコイイ人が彼氏なんて・・・・




私なんて・・・



アクセサリーだって選ぶの苦手で。



童顔だし・・・普通だし・・・・



「はぁ・・・」



小さくため息。




「ん?」



そんな私を不思議そうに見る優君。



「ううん。なんでもない。」


「?」



「暑いね~、アイスでも買おっか。」



ごまかしながら笑顔で言う。


クスっと笑って


「おこちゃま」




って優君が私の頭をなでる。




コンビニに寄り、アイスを買う。




「あれっ?優じゃん?!」


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