pure


声がした方向に振り向くと


「智也・・」


メッシュの入った前髪をちょんまげみたいに結ったジャージ姿の男の子がいた。



これまた柄悪そう・・・・



私は一歩下がって優君の後ろに行く。



「久しぶりじゃんっお前最近全然連絡取れねーってナオトが言ってたぞー」



智也君はそう言う優君と私を見比べて・・・



「あれ?優って妹いたっけ?」



・・・・・・・・そうなるよね・・・・・



「・・・・・・妹じゃないけど・・・」



「へ?・・・・」




”じゃあ誰この子?”とでも言いたそうに私を見る智也君。



ちゃんと彼女って紹介してくれないのか・・・・




そのまま何か話し出した優君と智也君。




やっぱ、妹って見られてるのか・・・・



そうだよね・・・似合ってないし・・・・



ただでさえ大人っぽい優君には翔子さんみたいな年上の人が似合うんだきっと。



あんなにはっきり言われると落ち込むよ・・・



しょうがないよ。


だってキスされるだけで心臓壊れそうなほどドキドキするし、それ以上なんて・・・・



嫌・・なワケじゃない。恥ずかしいって思うと勇気が出ないんだ・・・



そんなんだから妹に見られたって仕方ない。



どうしたら優君に似合う女の子になれる・・・?



優君は私なんかと一緒にいて楽しいのかな・・・・?







いつもは手をつないで歩いてるだけでも幸せなのに。


今日はブルーだ・・・


コンビニの帰り、静かな私に気がついた優君。


「今日、ひな元気ない?どした?」



優君は足を止め、私を覗き込むように腰をかがめる。


心配そうな顔。



「大丈夫、夏バテかな・・・」



そうやって顔を見つめられるだけで、ドキドキするんだよ?



赤くなった私の顔を見て



「そっか、ひながんばり過ぎかもな。」



私の頭をなでてまた前を見て歩き出した。



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