pure
「様子が変だったらしいんだよ。智久ってやつ。いきなり後ろから殴りかかってきたらしい。なんか思いつめたみたいに・・・」
「憎しみこもってんじゃね?」
「まさにそんな感じだったらしいんだけど、やられた方はそいつのこと見たこともなかったって・・・・・」
「・・・・・・・」
あいつは何を考えてんだ・・・?
「俺らの後輩もさ、やられっぱなしじゃやってらんねーみたいでさ・・・」
「・・・・・それじゃ・・・」
「ああ、いま智久のこと探し回ってる。」
「・・・・・・・・」
カズトの話だと、複数の人間が智久を探し回ってるらしい。
あいつが行きそうな場所を探し回る。
俺があいつに会ってどうする・・・?
カズトの後輩に見つかったら・・・?
ケンカはしないって・・ひなと約束したし・・
とにかく、なんでこんなことになったのかだけでも智久から聞きださなきゃスッキリしねーし。
とりあえず、ひなに。
「今日は迎えにいけない。ゴメン」
とメールする。
何箇所か探し回って、もう夜8時になっていた。
まさかと思うけど・・・・
と思い、ヒロさんのバーに行く。
「よ!」
カウンターから手を上げるヒロさん。
「ヒロさん、智久、知らね?」
息を切らしながら言う俺を目を丸くして見るヒロさん。
「・・・・・・・・裏。」
それだけ言って、親指で後ろを指す。
バーのカウンターに入り、奥のドアを開ける。
カーテンで仕切られたスタッフの休憩する場所がある。
そのカーテンを空けると、小さく座った智久がいた・・・・
俺が入ったことに気がついた智久がぱっと顔を上げる。