pure


「優さん・・・・」


智久の顔は、何か脱力したような・・・・


気が抜けたような顔だった。


「はぁ・・・探し回ったっつの、なに隠れてんだよ」


コツとグーで軽く頭に当てる。



「すみません・・・」



低い暗い声。



こいつはいつもは声がでかくて、いつも笑ってて。


智久がこんなに凹んでるのは初めてだ・・


「どーしたんだよ」


向かいにあぐらをかいて座る。


ポケットからタバコを取り出してくわえる。


タバコを智久に差し出すと、一本取った。


智久のタバコに火をつけて、自分のタバコにも火をつける。


「・・・・・・」


黙ったまま智久を見る。


しゃべり出すまで。


長い沈黙の後



「もう・・・・・どーでもいいんです。・・・」



それだけぼそっと言った智久の目から涙がこぼれた。


俺は何も言えず、黙っていた。







「俺・・・・・・裏切られたんです・・・」


しばらく黙ったままいた智久がしゃべりだした。


「俺のもんだって思ってたのに・・・・」


智久は下を向いたまま手をギュッと握り締める。




「・・・・・・・・彼女・・・北校のあいつと・・・・浮気・・したんです。」




< 85 / 114 >

この作品をシェア

pagetop