冬の恋
また星空を見上げて、目を閉じた。
あたしは1年前の今日を、思い出した。
鮮明に、まるで昨日のことのように思い出す。
「…寒くない?」
1年前の今日、あなたはベンチに座っていたあたしにそう声をかけた。
あの時もあたしはひとりで、目的もなくイルミネーションが輝く街を歩いていた。
「なんか温かいものいる?」
「…いらない」
「でも、寒いでしょ?ひとりで何してんの?」
「…あなたこそ。ひとりで何してるの…?」
あなたはあたしの隣に座って言った。
「…目的なんて無いよ。ただ、歩いているだけ。」
「…。」