困惑の予言者
序章

「少年――下に何が見えるかね?」



 その人は、絶望に駆られて、崖から身を躍り出さんばかりに身体を乗り出していた私に、場違いな程に落ち着いた様子で声をかけてきた。

 何を話したのかは、実のところ、はっきりとは覚えていない。ただ、何故か話してみてもいい思ったのだ。
 そして、その人と話す内に、私は絶望の中にかすかに希望の光を見い出し、もう一度、前を向いて歩いてみる気になったのだ。



 そして、今もここに私はいる。
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