わたし、あなたのこと諦めます。
「あ、あの!篠原くん」
「ん?どうした?」
「うん、えっと………」
「………あ~、もしかして」
「………」
「ははっ、もう俺フラれるのかぁ」
篠原くんの笑いはいつもと変わらないようだったけど、どことなく力なかった
けど
「なんでフラれるって……?」
わたし、なにも言ってないのにどうして……
「だって本当のことでしょ?自分の気持ちに気づいたんだよね?」
「……うん」
「あっはは!ほんっとうやっとだね」
「うっ……それは」
「あーあ、もうフラれるのかぁ。いいよ。さっさとフッちゃって」
篠原くん……
いつまでも迷ってるわけにはいかない
「藤田くんと別れてから、藤田くんのこと好きなのかわからなくなってきて。もちろん最初のいっちばん初めは大好きだって思ってたけど……」
「うん」
「そんなときに篠原くんに告白されてちょっとだけ揺らいじゃったの。でもそれは……多分篠原くんを利用して、藤田くんを忘れたかっただけだと思う」
「うん」
「ごめんなさい。それでこの前夏祭りのときに、藤田くんに告白された時、今までのわたしならこんなに嬉しいことないって思ってたよ。でもその時は、嬉しいって気持ちもかき消すくらいただただ混乱してた」
「うん」
もちろん好きって気持ちもわかってなかったし
「それで今日、篠原くんといても頭の中に浮かんでくるのは藤田くんで……グス……だから、さっき気づいたの。わたしは藤田くんが好きだって」
「え……さっき?……ははっ!しかも泣いてるし」
「うぅ~笑わないでよぉ……。だ、だから……ごめんなさい」
「うん。………そっか。いいよ藤田のところ行って」
「うん」
「相手の幸せ願うのが真実の愛……な~んて。気持ち悪いね、ごめん」
「何言ってんの!全然気持ち悪くないよ!……むしろ、篠原くんがこんなに優しい人でよかった」
「え?」
「だって、篠原くんすっごく優しいでしょ?さっきみたいに、相手の幸せ願うのが真実の愛って言ってくれるような人だし。自分の気持ちより相手の幸せを優先しちゃうんだもん」
「そんなことないよ。俺だって、如月さんが藤田のこと嫌いになってほしいって思った」
「でも最後には、自分の気持ち殺しちゃったでしょ?わたしはそういう篠原くんの優しさにいつも助けられてるんだよ?」
「大袈裟だな……。俺だって本当は如月さんと恋人になりたいって思うよ。でも、そう思っても、如月さんは俺をフルでしょ?実らない恋でふられて終わるなら、相手を応援した方がよっぽどいいかなって」
篠原くん………
「篠原くん……ありがとう!!」
「あ、待って」
「ん?」
「あんま、俺にいい顔しないで」
え…………?
「諦めが弱くなるから」
「あ………は、はい!!」
「でも、今日は少し付き合ってもらうよー?」
「あ、はい!もちろん同行させていただきます!!」
「ははっ!同行って」
「す、すみません」
「そんでなんで敬語?」
「いい顔するなって………」
「いやいや、そういうことじゃないでしょ?」
え………違うの?
「じゃあ………どういう?」
「やっぱり如月さんにはわからないか……。いいよ。今までと同じようにして?でもそれは、俺と友達だからっていうことで。」
「……?わかった」
本当によかった
篠原くんがこんなに優しい人で