ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
今日も軽薄さ全開の堂浦さんが、
食べながら私に質問してきた。
「さっき何の話をしてたの?
もったいないって、何が?」
「俺っちもそう思う〜」と言いながら相席してきた彼だが、
私と由香の会話の、終わりの部分しか聞いていなかったみたい。
良かった。
同居生活にドキドキしまくりだと知られたら、
この男は余計なことをしでかしそう。
「夏美ちゃんが、お前に惚れちゃったって〜!ヒューヒュー!」
そんな風に軽く、久遠さん本人に告げ口されそうな気もする。
聞かれていなかったことにホッとして、
「何でもありません」
とすまして答えた。
たぬきうどん、最後の一本をツルンとすする私に、
堂浦さんは口を尖らせて言う。
「え〜教えてよ〜。隠されると気になるじゃん。
何がもったいないの〜?
バージンが?バージンあげるのがもったいなくて、久遠と一線越えられないわけ?」