ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


今日も軽薄さ全開の堂浦さんが、
食べながら私に質問してきた。




「さっき何の話をしてたの?

もったいないって、何が?」




「俺っちもそう思う〜」と言いながら相席してきた彼だが、

私と由香の会話の、終わりの部分しか聞いていなかったみたい。



良かった。


同居生活にドキドキしまくりだと知られたら、

この男は余計なことをしでかしそう。



「夏美ちゃんが、お前に惚れちゃったって〜!ヒューヒュー!」

そんな風に軽く、久遠さん本人に告げ口されそうな気もする。



聞かれていなかったことにホッとして、

「何でもありません」

とすまして答えた。



たぬきうどん、最後の一本をツルンとすする私に、

堂浦さんは口を尖らせて言う。




「え〜教えてよ〜。隠されると気になるじゃん。

何がもったいないの〜?

バージンが?バージンあげるのがもったいなくて、久遠と一線越えられないわけ?」




< 101 / 453 >

この作品をシェア

pagetop