ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
チャラ男のせいで……
軽薄全開セクハラ男のせいで……
問題あり過ぎで、いつまで経っても出世できない万年平社員のせいで!
なぜ私が、こんな恥ずかしい思いをしなければならないのか。
堂浦さんには本当に腹が立つ。
庶務課に逃げ帰ろうと、3階廊下を走っている途中で、
追ってきた堂浦さんに捕まってしまった。
「夏美ちゃん待ってよ!
ごめん、マジごめん!
俺、本当にバージンだと思わなくて……」
この男は、まだ言うか。
そこは触れないで欲しいデリケートゾーンなのに。
謝るために追ってきたようだが、
逆効果。
掴まれた腕を振り払い、廊下の真ん中で声を荒げてしまった。
「堂浦さんには、デリカシーという物がないのですか!
いつもいつも、セクハラ発言ばっかりして!
この前は私のスカートの中を覗いた上に、花柄ピンクと馬鹿に……」
「わーーっ!夏美ちゃん、落ち着いて!
こんな場所で言われたら、俺っちクビになっちゃうよ!」