ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
私が真面目に怒りをぶつけている最中なのに、
この人は、何をやっているのだろう……。
そのふざけた態度に、怒りより呆れの方が強くなる。
ムスッとして、睨みつける私。
ネクタイを緩めた堂浦さんは、
今度はワイシャツのボタンを一つ二つと外し始めた。
ボタンを一つ外すごとに、香水の甘い香りが強く漂う。
いつものチャラチャラふざけた表情は封印し、
彼は急に真顔になった。
目には男の色気を漂わせ、
私の髪を指ですいて遊び始める。
堂浦さんが言う。
「バージンを馬鹿にしたつもりはなかったんだけど、
そんなに怒るということは、相当気にしているんだね。
夏美ちゃんが扱い難い理由は、
そこ。
バージンにあるのかも。
それなら話は早い。
そのコンプレックスを排除してあげればいいんだ」