ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


私が真面目に怒りをぶつけている最中なのに、

この人は、何をやっているのだろう……。



そのふざけた態度に、怒りより呆れの方が強くなる。



ムスッとして、睨みつける私。



ネクタイを緩めた堂浦さんは、

今度はワイシャツのボタンを一つ二つと外し始めた。



ボタンを一つ外すごとに、香水の甘い香りが強く漂う。



いつものチャラチャラふざけた表情は封印し、

彼は急に真顔になった。



目には男の色気を漂わせ、
私の髪を指ですいて遊び始める。



堂浦さんが言う。




「バージンを馬鹿にしたつもりはなかったんだけど、

そんなに怒るということは、相当気にしているんだね。


夏美ちゃんが扱い難い理由は、
そこ。

バージンにあるのかも。


それなら話は早い。

そのコンプレックスを排除してあげればいいんだ」




< 106 / 453 >

この作品をシェア

pagetop