ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
堂浦さんが、私との距離を半歩縮めた。
さっきまで怒りMAXだった私だけど、今は焦りに支配されている。
急に色香を大放出する、この男。
何か良からぬことを企んでいる気が……。
彼が詰め寄り、私が後ずさる。
それを繰り返して、とうとうホワイトボードに背をぶつけてしまった。
下がりたくても、これ以上は下がれない。
「ど、堂浦さん、何を……?」
何をする気かと、質問したことを後悔した。
彼はニヤリと笑い、
「セックス」
と言った。
「君のコンプレックスの原因を、取り除いてあげるよ。
大丈夫。俺ってテクニシャンだから。
初めてでも、痛くないようにしてあげる」
セ、セ、セッ……
えええーーっ!?
たちまち、頭の中がパニックになる。
慌て過ぎて、思考が停止してしまいそう。
真っ白になりそうな頭を必死に働かせ、逃げ道を探す。
こういう場合は、どうすればいいのか?
悲鳴かな?
悲鳴を上げた方がいいんだよね?
悲鳴って……どうやって上げればいいんだっけ!?