ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
のそのそと起き上がり、乱れた服と髪を整える。
白衣の背中が消えたドアを見て、
大きなため息を吐き出した。
私が隙だらけという事実を、教えようとしたのだとしても、
あれは酷い。
本気で驚いて焦ったし、
あそこまでしなくていいと思う。
そう思う一方で、困った感情も湧いていた。
押し倒されて死ぬほどびっくりしたけど、嫌じゃなかった。
むしろ、私を女として見てくれた気がして、
嬉しい……。
ヤバイかも。
やっぱり由香の言うように、久遠さんを好きになってしまったのか……
ブラウスの胸元をギュッと握りしめた。
変えられないポリシーと、気付いてしまった恋心の狭間で、
戸惑うばかりだった。
――――……