ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
久遠さんが恐れているのは、
まさにコレ。
うっかり私がリークするのではないかと警戒して、
最近緩んでいた監視の目が、また厳しさを取り戻しつつある。
絶対に情報を漏らさないよう、
私も気をつけていた。
ここ数日は、自分の名前であるにも関わらず、
“夏美”という言葉を口にしないようにしている。
探りを入れられても、
「何も知りません」
と言い続ける日々。
そんな私に三国主任は、
「偉いね」
と率直に褒めてくれて、
堂浦さんは、
「いい子、いい子。
このまま秘密を守ってくれたら、ご褒美にセクシーランジェリーを買ってあげるよ〜」
そんなセクハラ混じりの褒め方をしてくれた。
肝心の久遠さんがどうかというと……
「当然だ。このままどこにも漏らすなよ。
もしリークしやがったら、俺に何されるか……分かっているよな?」
そんな風に、褒めるのではなく脅してくる。