ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
久遠さんが確かにシャワー中なのを確認し、
ミカコさんのケージに近付いた。
そっとフタを開けて、ミカコさんを出してみた。
私の手の中でミカコさんは慌てていて、
モコモコふわふわ、毛の感触が少しくすぐったい。
久遠さんの真似してソファーに寝転びながら、ミカコさんと戯れる。
いつも彼の愛情を独り占めしているミカコさん。
そんな羨ましい彼女に、つい悩みを相談してしまった。
「ねぇミカコさん。
久遠さんに好かれるには、どうしたらいいのかな?」
もちろんミカコさんは、何も喋らない。
クリクリした黒目に私を映して、
頭を傾げてから、毛づくろいを始める。
その仕草が、とても可愛いかった。
仕草も丸いフォルムも、モコモコ感も、
何もかも可愛い。
良く見ると、白と茶、二色の毛並みの背中に、
茶色いハート型の模様があった。
それを発見して、思わず呟く。
「ミカコさんて、女子力高いですね……」
と。